世界自然遺産 知床

知床の生態系                                                                        知床国立公園50周年・世界遺産10周年

 知床半島は、北海道の東部に位置し、中央部に高い山が連なる約70キロメートルのオホーツク海に突き出た半島です。  世界自然遺産地域は、知床半島の中央部から先端にかけての陸と海の一部から構成されています。
  この地域の特徴は、流氷の恵みが野生動物を育む生態系と北や南のいろいろな種類の動植物が生息・生育していることがあげられます。
知床周辺地図
知床周辺地図
  冬、知床には流氷がやってきます。流氷がやってくる場所としては知床は北半球でいちばん南になります。この流氷には豊かな栄養が含まれ、春になると溶け出した栄養と光で植物プランクトンが大量に増え、それが動物プランクトンのエサとなります。動物プランクトンは、小魚のエサとなり、その小魚は大きな魚やカモメなどのエサになります。大きな魚はトドやアザラシ、クジラ、オジロワシなどのエサになり…というように生き物たちが生きていくために食うものと食われるものとの一連の関係(これを「食物連鎖」と言います。)が起きます。
これは海だけのものではありません。たとえば、川にはサケやマスが産卵のため生まれた川に戻って来ます。 このサケやマスは、森に棲むヒグマやキツネなどの陸の動物たちの貴重なエサになります。また、食べ残った死骸は土にかえり、土の養分となって森の草木を育てます。 このように知床は海の生態系と陸の生態系の相互関係の見本です。
生態系図
生態系図
  知床には、海や川、森林、高山、湿原というさまざまな自然環境が狭い地域に詰まっており、そこに息づく生物にとって、とても重要な地域です。この中にはシマフクロウやオオワシ、オジロワシ、シレトコスミレなどの多くの希少種が含まれています。
  また、トドやクジラ類などを含む海に棲むほ乳類や世界的に数が少ない海烏類の棲む場所として重要なところです。

  知床は海と陸の自然環境が密接に影響し合う豊かな生態系とさまざまな動植物の生息・生育地であることが評価され、ユネスコの世界自然遺産に登録されました。日本では屋久島、白神山地に次ぐ3番目の登録地です。
写真:ヒグマ
ヒグマ

写真:高橋はるみ知事
  平成17年7月に、北海道の宝『知床』が世界自然遺産として登録されました。
  北海道には、知床を含めて多くの国立・国定・道立自然公園があり、ラムサール条約に登録されている湿原を全国で最も多く抱える、まさに自然の宝庫です。
知床と道東地域、さらには道内各地の大自然が織りなす四季折々の魅力を、国内外の大勢の方々にぜひ鑑賞していただきたいと考えています。同時に、貴重な自然を将来に引き継いでいくために、旅行者の皆様にも環境への配慮をお願いしなければなりません。
  知床世界自然遺産の登録はゴールではなく、国や地元の方々とともに自然環境保護を推進するためのスタートです。
  はるか過去にさかのばると、北海道には狩猟や採集を主体とした暮らしがあり、それは自然との調和を尊ぶアイヌ文化へと受け継がれたとされています。
  私は、そうしたアイヌの方々の知恵や精神文化に学びながら、皆様と力をあわせて知床が世界に誇る生態系や希少な生物の保護を進めて参りたいと考えています。
北海道知事 高橋はるみ