腸管出血性大腸菌とは
大腸菌は家畜や人の腸内に存在し、ほとんどのものは無害ですが、いくつか人に下痢などを起こすものがあり、病原性大腸菌と言われています。その中でも「ベロ毒素」を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすものが、腸管出血性大腸菌です。
この腸管出血性大腸菌は、血清型によってO157、O26、O111などがあります。
主な症状
感染してから、おおよそ2日から7日後に、腹痛、下痢などの腹部症状が起こります。続いて血便が見られることが多く、抵抗力の弱いお子さんや高齢者の方などは、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症など重篤な合併症を引き起こすことがあります。
抵抗力の強い人では感染しても症状が出ず気がつかないこともありますが(いわゆる病原体保有者)、このような症状のない病原体保有者からも感染が起きるので、日頃から排便後や調理前の手洗いなどの感染予防をしっかり行うことが大切です。
感染予防のポイント
・トイレの後、食事の前、動物とふれあった後には、流水と石けんでよく手を洗いましょう。
・食材は流水でよく洗いましょう。
・基準※に適合しない肉の生食は避け、中心部まで十分に加熱しましょう。生食用食肉(牛肉)の加工及び調理において腸管出血性大腸菌等を完全に除去することは困難であり、特に子どもや高齢者は抵抗力が弱く重症化しやすいので、基準に適合するものであっても生肉は食べない、また食べさせないようにしましょう。
・肉を焼くときの箸やトングは専用にし、取り箸は別にしましょう。
・生肉を取り扱った器具類(まな板、包丁など)は、使用後すぐに洗剤で洗い、熱湯などで消毒してから、他の調理に使いましょう。
・下痢などの症状があるときは、プール(特に子供用簡易プール)の使用は控えましょう。
※平成23年10月1日にユッケなどの生食用の牛肉について食品衛生法に基づく基準が定められました。
また加熱用を除き、生の牛レバーの販売・提供は平成24年7月1日より、豚の肉や内臓の生食用としての販売・提供は平成27年6月12日より、それぞれ禁止されています。
腸管出血性大腸菌感染症(O157など)の集団発生が疑われる場合の対応について
保育園、幼稚園、学校、障がい者施設、高齢者施設等で集団発生を疑う場合は、感染拡大防止のため、保健所への報告をお願いします。
集団発生が疑われる場合は、感染性胃腸炎の集団発生と同様の対応になります。詳細については、下記のリンクをご確認下さい。